エビデンスとは

近年、医療現場で使われるエビデンスという言葉が医療分野にいる方以外にも浸透してきました。元々エビデンスとは物事の成功可能性を示す時の確率などを表す言葉であったようですが、最近ではより広く根拠や裏付けを示す行為を表す際に使われることの方が馴染みがあります。その影響かは分かりませんが、何かあれば「エビデンスがあるのだろうか」と気になる我々の姿勢に拍車がかかったような気がします。

心理療法におけるエビデンス

カウンセリングの分野でもエビデンスが求められるようになりました。確かに莫大な時間、多額のお金を払って受けるものに効果がないという話ではたまったものではありません。カウンセラーは心理療法という専門的な技術を用いてカウンセリングを行います。この心理療法は本当に様々なものがあり、カウンセラーはそれぞれ得意な心理療法というものがあります。多くの心理療法にはエビデンスがあるかということを確認するための効果測定研究が行われています。話がこのコラムでまとまりきらなくなってしまうので、細かいデータの提示はご容赦頂きたいのですが、どうも研究によって結果はまちまちのようです。ただ有名な所ですと、認知行動療法という心理療法はエビデンスが広く認められており、今後益々クローズアップされていくように予想されています。

エビデンスを重視して心理療法を受けることの危険

さて、ここからが本題です。カウンセリングとは自分の気持ちに気付くこと、もっと言えば自分と向き合い、自分のことを考えて、自分を大切にする営みです。一方、そのカウンセリングの方法をエビデンスありきで選択することは自分のことを考えようとしているようで実は人の考えに導かれた結果のように思えてしまうのです。もちろん、それで悩み事がなくなったり、症状が落ち着いてくれればそれは素晴らしいことです。そして、最初はそれでもいいのです。しかし、それはあくまでも対処療法であって、本当の意味で私を知るということとは何か違う気がします。心理療法にはまだまだ研究の裏付けは必要ですが、確実に効果があるものはたくさんあります。というよりも人によって適している心理療法があり、効果のあるなしが異なるのかもしれないと思います。エビデンスに振り回されることなく、自分の感じ方や自分の変化に手をあてて、自分自身で「これはエビデンスがある」と信じられる心理療法に出会えるのが一番いいのでしょうね。

おまけ

ビタミン剤を「これは睡眠導入剤です」と言って渡すと本当に不眠が改善することがあります。科学的なエビデンスは全くないはずです。でも良くなるのです。これをプラセボ効果と言います。人間の身体はどうも科学の原理だけで動いているわけではないようです。