はじめに

カウンセリングの料金は決して安いとは言えません。当ルームの継続カウンセリングは45分で8,000円を頂いておりますが、カウンセリング業界ではこの価格でも決して高い方ではありません。「なんでこんなに高いのか、しかも1回1回のカウンセリングで劇的に効果が現れるわけではないのに」と思われる方もいらっしゃるでしょう。確かにその通りです。

カウンセリングで行うこと

ではカウンセリングが無料であったらどうでしょうか。最初のうちは利用をしやすいかもしれません。しかし、カウンセリングが進むと、必ずカウンセラーに対しての不満や怒り、あるいは何かを要望したい気持ちが生じてきます。本来はこの感情はカウンセラーとの間で話題にしないといけない感情です。というのもカウンセラーに対する感情というのは、おそらくあなたの心配事や相談動機となった事柄の核心に迫るものであり、まさにその感情を扱うことがカウンセリングの目的になることが少なくないからです。もう少し付け足すと、カウンセリングではカウンセラーに自分の気持ちを預けることで客観的に眺める作業を行ったり、日常生活の対人関係がカウンセラーとの間で再現されることで、自分の対人関係のパターンに気付くことが可能になるのです。つまり自分のことを知る過程でカウンセラーに対して湧き起こる感情を話題にすることが必須なのです。

有料でないと出来ないこと

話がだいぶ逸れてしまいましたが、もしカウンセリングが無料であったとしたら、カウンセラーに対して抱く感情を包み隠さず伝えることができるでしょうか。多くの人がそのことに抵抗を感じるはずです。そして、カウンセリングを続けることが苦痛となり、十分な結果を手にする前にもっともな理由を付けて終わりにしてしまうのです。最初の頃は話を聞いてもらうことで満足したり、自分の気持ちを言葉にできたことの安堵感を感じるかもしれません。しかし、もし自分のことを知りたいとか、現状を変えたいという思いからカウンセリングを受けることになったとしたら、無料ではその目的に辿り着くことが難しいのです。有料のカウンセリングであれば「お金を払っているのに」という思いは当然あるのでカウンセラーへの不満を口にしやすくなりますし、お金を渡すことでカウンセラーがただの良い人ではないということにその度に気付かされます。このことにより、カウンセラーを自分の目的のために「使う」ことができるようになるのです。

カウンセリングルームの実情について

「でも、そうは言ってももう少し安くならないの?」というご意見も頂きそうですね。これはルーム運営の話になりますが、私たちはどんなに忙しくなっても1日に担当できる人数は決まっています(だいたい1日に5~7名の方とお話をしています)。その中でルームの諸経費を考えると、どうしても10,000円前後の額になってしまうのです。もちろん賃料などが高い都会よりも郊外の方が価格を抑えることはできます。悩ましいところです。医療機関のように保険が使えれば良いのですが、日本にはまだそのような制度はありません。ただ、子ども達が放課後等デイサービスの利用のために行政の補助を受けることができるようになったことを考えると、今後大人のカウンセリングでも同様の制度ができるかもしれません。これは現状では全く期待のできない話ですが、もっと多くのカウンセリングを必要としている人に、このサービスを届けるためには大きな助成制度を整備していかないと難しいのだろうなと思います。