はじめに

 ここまででカウンセリングの開始から終結を概観してきました。勿論、相談者の方によって経過は異なりますが、なんとなくでもイメージを持って頂けたら幸いです。今回は、カウンセリング終結後について眺めてみようと思います。

フォローアップ面接

 カウンセリングが終結した後も、場合によっては半年に1回程度、カウンセリングに足を運んだ方が良い場合もあります。これは、新しい環境に無理をしすぎることなく適応できているのかを確認するためであり、自分一人では気付きにくい変化をカウンセラーとの話を通して知るためでもあります。これには心の定期メンテナンスの役割があり、もし再度辛い状況に立たされていた場合に早期に発見して対応を考える予防が目的です。

どのようなことを話すか

 カウンセリングを終結した上で、フォローアップ面接にお越しになる方であれば、ここで文字に起こすこともなく自然と話が湧いてくるのではないでしょうか。それは近況の報告かもしれませんし、新しい自分を発見した話かもしれません。あるいは、カウンセリングに通っていた当時の気持ちを「今だから言えるけど…」とお話しされる方もいらっしゃいます。よく出来ている点は勿論お話し頂きたいのですが、どこか無理をしているところがないか、今後、自分一人でやっていけそうかを考えながらお話し頂くと、より良い時間を過ごせるかと思います。

カウンセラーの存在

 この段階まで来ると、カウンセラーは仲の良い近所のおばさんか親戚のおじさんのような存在になっていると思います。家族にも言えない話を知っているけど近すぎない距離感がある。そんな人物です。カウンセリングを受けていた当時と比べてカウンセラーが一回り小さく見えるかもしれません。前回、心理学者のマーラー(M.Mahler)の話をご紹介しました。これは、カウンセリングの過程が母子分離への経過と同様に展開していくという話でした。巣立ち自立したあなたにとって、カウンセラーは過去の懐かしい人になっているはずです。この変化を寂しくも嬉しく思えるようであれば、来室に費やした日々は決して無駄ではなかったのだと思います。

カウンセリング再開となる場合も

 しかし、中には久しぶりにあったあなたの様子がとても心配で再度のカウンセリングを行う必要が生じることもあります。渦中にいると気付けない変化も、久しぶりに会ったカウンセラーは気付きますし、必要であれば再開を提案すると思います。このような時は、可能な限り応じて頂いた方が良いかと思います。最初にカウンセリングを受け始めた時期は本当にお辛い時間であったと思いますが、そのような状況に再び立たされる前に、早めに心の声に耳を傾けた方が良いからです。

カウセリングを受けた事による変化

 カウンセリングを受けた事による影響はおそらく生涯続きます。あの時にこういうことを考えたなぁとふとした時に思い浮かぶというよりは(そういうこともありますが)、カウンセリングで体験したことが、自分の行動様式、思考様式の中に浸透して意識をする必要すらないくらい血肉となっているはずです。心の土台部分が安定して以前であれば耐えられなかった困難も乗り越えられるようになっています。当初は症状や悩みの除去を目指したカウンセリングは、段々と予防の役目を担っていき、その効果は人生の至る所であなたの気持ちを折れないように支える信念となっていることでしょう。

おわりに

 カウンセリングとは人生をより納得して生きられるようにする手段ですし、精神的健康を維持するための保険にもなります。そしてカウンセラーとの関係は時に人生で一番話をした人間関係にもなりえます。ただ一つ言えるのは、意識的でも無意識的でも、自分の気持ちに嘘をついて過ごすことは何かを犠牲にしていることだということです。嘘を付かざるを得ない辛い体験があったのであれば、自分の気持ちを歪曲せずに見つめることを出来るようにする手段がカウンセリングだと思いますし、その先にあるものは自分を大切に感じることができる人生なのだと思います。

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