はじめに

 さて、インテーク面接を行いカウンセリングを行う契約が済んだら、いよいよ本格的なカウンセリングに入っていきます。今日は最初の数セッションを取り上げてお話をさせて頂きます。

アセスメント面接

 インテーク面接後の数セッションを「アセスメント面接」と呼ぶことがあり、その後のカウンセリングとは異なる位置付けを与えられていることがあります。「あれ、状況はインテーク面接で話したじゃん」と思われる方もいらっしゃるでしょう。インテーク面接では現在の状況やこれまでの経緯という事実を確認させていただくことが中心となります。一方、このアセスメント面接はあなた自身の人柄や考え方、対人関係、情緒的交流の得手不得手などを中心におうかがいします。例えば、Aという出来事があった時に、あなたとBさんではその捉え方が違うかも知れません。あるいはCさんから理不尽なことをされた時の反応もあなたとBさんで違うかも知れない。つまり、あなた自身の受け止め方をカウンセラーが知らないと一般論のお話しかできず、心の深くに潜っていくカウンセリングにはならないからです。

心理療法によっての違い

 アセスメント面接という言葉は特に精神分析や精神分析的心理療法で用いられます。通常4回程度の回数を用いて上記のことを確認させて頂きます。そして、アセスメント面接が済んだ段階でカウンセラーから「あなたの心配は○○からきているのですね」とか「○○という気持ちがあるのですね」、「△△をまずは話題としていきましょう」など、カウンセラーなりの理解を伝えられることになるはずです。これらを「見立て」と言います。

 このアセスメント面接をどのように設定するかは心理療法の立場によって違います。例えば、過去のことはさて置いて「今ここ」のことを扱おうとする立場であれば、おそらくインテーク面接の後からすぐに最近起こっている具体的な事柄を題材にして、その時の感情や現実的な対処を話題にしていくでしょう。最近では短期心理療法の需要も高まっているので、あえて過去に触れないこともあります。また、アセスメント面接の中で重視する点が異なることもあります。情緒的な動きを話題の中心にする感情焦点型の心理療法の立場や、考え方などの認知面を話題にする認知療法の立場があるからです。また、具体的な対人場面での振る舞いを話題とする対人関係療法のような立場もあります。

アセスメント面接はどのように受ければ良いのか

 ここまで読まれると「カウンセリング契約はしたけど、最初の数セッションはどんな気持ちで来ればいいんだろう」という疑問が湧いてくると思います。「書いておいて…」と怒られそうですが、そこまで意識をせず通常のカウンセリングと同じようにお越しください。このアセスメント面接を意識する責任はカウンセラー側にあるからです。あえて言うのであれば、まだ知り合って間もない人間同士でお互いに分からないことだらけですので、あなた自身がどういう人かということを積極的に教えて下さい。お話し頂く中でカウンセラーが質問によってあなたをエスコートしていきます。エスコート先は、あなた自身に合った心理療法のお部屋にお連れすること、そんなイメージでしょうか。カウンセラーのエスコートに身を任せるという姿勢はその後のカウンセリングの効果を最大にするためにも大切な姿勢です。一つお願いがあるとすれば急に予期せぬ質問が来て怪訝な気持ちになるかもしれませんが、この時期はまずはお答え頂ける範囲で教えて欲しいとは思います。

アセスメント面接での違和感

 アセスメント面接でカウンセラーがお連れしようとする方向と、あなたが求めているものが異なることもあるはずです。この時は「今は別の話をしたいのになぁ」など、カウンセラーに対しての不満や不快感という形で体験されるはずです。この体験はカウンセリングを即終了としてしまう方もいる程に破壊的な力を持っています。カウンセラーとの相性は勿論ありますし、場合によってはカウンセラーを変更することも必要だと思います。しかし、変更する前にできれば「こういう方向でカウンセリングを受けたいのだけれど」とあなたの思いを伝えてみてください。多くのカウンセラーがあなたと一緒に方針を決めていきたいと思っているはずなので、この申し出は歓迎されるはずです。それでもカウンセラーの方が聞く耳を持たないようであれば変更をお願いしてもいいと思います。

カウンセリング初期の頻度

 心の核心に触れるためには準備が必要であり、特に心の深い部分に近づこうとすればする程、初期のアセスメント面接が大切になります。考えれば当然で、自分の根源を知ろうとすればするほど、より初期の情報である家族歴や幼児期の話が必要になってくるからです。逆を言えば情報が少なければ対処療法的な話に終始し、根本的解決は行えないと言っても差し支えないはずです。なので、もし自分の心の深い部分に触れていこうと思うのであれば、特に最初の方は頻回にカウンセリングに通った方が良いと思われます。そうでないと、アセスメント面接の期間が長くなってしまい、求めているカウンセリングまで辿り着くのに時間がかかってしまうからです。

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