はじめに

 私たちは日々誰かと会話をしています。しかし、会話の中でこんなことを感じることがあるはずです。「あれ、盛り上がらない…何か話さなきゃ」「間が持たない、どうしよう」。こんな時にどのように考えれば良いのかが今回のテーマです。

仕方がないでは済まない会話の悩み

 書店に行けばビジネス書のコーナーに「会話が盛り上がる話し方」「苦手な相手との接し方」などのタイトルを山のように見かけます。もちろん、このようなスキルを身につけることは大切ですし、社会人として生活していくのであれば身につけておくに越したことはありません。

 しかし、人間なので相性の合う、合わないは避けては通れないことでしょう。日々過ごしていれば当然でありますが、仕方ないで済ませられない問題だからこそ悩む方も少なくないようです。利害関係のない相手であれば、お互いになんとなく距離を取って「仕方がない」で済ますことができます。しかし、相手が上司であったり大事な取引先の方だとしたら、「仕方がない」というわけにはいきません。

コミュニケーションの責任はどこにあるのか

 でも、取引先だから、逆らえない人間関係だから、などの力関係は一旦脇に置いて、少しこのやりとりを考えてみましょう。今、皆さんの頭に浮かぶ間がもたなくて困ったエピソードを浮かべて頂くといいかもしれません。すると、こんな疑問が浮かびます。「その会話が盛り上がらなかったのは本当にあなたの責任ですか?」と。どうでしょうか?

会話は二人で行うこと

 もし、盛り上げよう、間を持たせようとしたのなら、あなたはその会話の当事者として責任を果たそうと頑張ったんだと思います。反対に相手はその会話に対して責任を感じていないということはないでしょうか。そう思うと、あなたの頑張りに対して何も応じようとしない相手に苛立ちを感じる気持ちが湧いてくるかもしれません。

 そうです、会話は二人で作っていくもののはずです。一人でずっと頑張らないといけない人間関係は無理があります、言葉のキャッチボールにならないですし、対等な人間関係とも言い難いものです。

アサーティブな会話を心掛けること

 さて、このような会話の悩みを抱えている時はあなたが随分と無理をしていることが想像できます。会話を盛り上げようとするのは、相手にも会話を担って欲しいことを伝えられない苦境に立っているのです。この時は相手の能動性を期待したいところですが、なかなか切り出すことも難しいものでしょう。

 しかし、一方では二人とも自分の感じている気持ちを相手に伝えつつ、お互いに気持ちよくやりとりをするアサーションの視点が足りていない事情も否定できません。相手との関係を壊さずに自分の考えを伝える方法を身に付けられると良いのかもしれませんね。

参考:アサーションを用いた関係づくり

責任を背負い過ぎてしまう性格

 コミュニケーションの責任を一人で負ってしまいがちな性格の方もいらっしゃいます。空気を読み過ぎてしまう方過剰適応がちに過ごしている方々がそうです。このような性格の方は自分が負担を感じても相手を立てる方に意識が向いてしまいやすいので注意が必要です。自分の中にある応じない相手に対しての怒りをもう少し肯定しても良いかもしれません。

相手に任せ過ぎてしまう性格

 反対に相手に会話を任せてしまっている方も改善をしていく必要があるでしょう。ここには自分の気持ちを相手に伝えることが苦手な方社交不安などで悩んでいる方が該当します。少なくともお話をすることが苦手なことは何らかの表現で相手に伝えないと誤解を受けて関係がどんどん悪くなってしまいます。

 一方、相手のことを全然考えていない方も相手に会話を任せます。自分が尊重されて当然と考える姿勢や、自己愛的な性格傾向が強い方が該当します。この場合は自分と相手が対等であるという認識が薄い訳ですから、長期的には破綻する方向に人間関係が動いてしまうので注意が必要でしょう。

コミュニケーションの責任は50:50

 たまに相手との会話が盛り上がらないことを「私のせいだ」ととても気にする方がいらっしゃいます。話の間が持たない状況をなんとかしようと頑張っている方です。人との関係を真剣に考えることのできる誠実な方なのでしょう。

 でも、もし「私がもっと話が上手かったら」とか「相手が喜びそうな話題の引き出しを持たなければ」と考えてしまうとしたら、それは一人で責任を背負い過ぎかもしれません。会話はあなた一人の責任ではなく「私と相手で50:50」です。こう考えると間が持たない会話の中でも落ち着いて過ごせるかもしれませんし、かえって相手との親密な関係を作るきっかけを作りやすくなるかもしれません。