はじめに

 このシリーズではカウンセラーや心理職と話をするのにどのような場所に行けば良いのか。そしてそこにいるカウンセラーはどのようなことをしてくれるのかを紹介していきます。

カウンセリングルームで出会うカウンセラー

 当ルームもそうですが、主要な町には大体一つくらいはカウンセリングを受けられる場所があるのではないでしょうか。カウンセリングルーム、心理相談室、心理オフィスなどなど呼称は様々ですが、お越し頂いた相談者の悩みの解決に向けてのお手伝いをする点は同じです。

 ただ、名は体を表すと言うように、この名前が運営の方針を表している部分も幾分かはありそうです。カウンセリングルームであれば心の世界を中心に話をするでしょうし、相談室であれば現実的な事柄も話題と出来ますよというメッセージが含まれているかもしれません。またセラピーという名前が付いていると「癒し」というイメージを持ちますが、「分析」と言われると心の深いところまで迫るために、時に苦難な道も有り得るだろうと連想することと思います。

どんな相談ができるのか

 多くのカウンセリングルームで相談できる内容に大きな差はないと思います。参考までに当ルームであれば、

人間関係の悩み / 自分の性格のこと / 生きづらさを感じている / 自分に自信が持てない / 仕事が思うようにできない / 過去の出来事が頭から離れずつらい / うつ病 / 不安障害 / 不眠 / ひきこもり / 発達障害 / パーソナリティ障害 など

とホームページに記載しております。実際にはこのような分類に当てはまらないご相談も多くありますので、よろず相談のように思われてしまうかもしれません。ただ、ご相談の内容は大きく分けてみると、以下の4つには分類ができそうです。

・自分の性格や人生などを話題とし自己理解を深める
・過去の出来事に現在が影響されてしまい身動きが取れなくなっている
・精神的な症状との付き合い方
・家族や恋人などの重要な他者との関わり方

…です。実際のご相談ではどれか一つという事は少なく、相互に関連した話となります。一つ言える事は「精神的な症状」はカウンセリングの入り口となることが多く、話が進んでいくうちに「過去の出来事」の話を経て「自分の性格や人生」の話に進んでいくことが多いように思います。

カウンセラーの資格

 さて、最近、話題になることが多い気もしますが、カウンセリングに特定の資格は必要ありません。少し誤解を招く言い方なので、もう少し正確に記すと、カウンセラーと名乗る資格は数多くあり、そのうちのどれか一つ以上を所持している人がカウンセラーを名乗っています。つまり、カウンセラーとして開業すること自体はそれほど高いハードルではありません。

 しかし、資格が多いという事は、カウンセラーの質にバラツキが多いということになります。各資格の土台となる理論や人間観が異なるために視点やカウンセリングの方法、個々の経験値の差が大きく異なります。中には1日の研修で取得が出来てしまう資格もありますので、カウンセラーを探す時は所持している資格がどのようなトレーニングの上で取得できる資格であるのかを確認する事はしておいた方が良いでしょう。(参考:カウンセラーの事情①・カウンセラーと資格の話)

町のカウンセラーになる人はどんな人か

 さて、町のカウンセリングルームというのは多くが個人事業でしょう。法人化しているところもありますが、数人程度の規模で運営している零細企業がほとんどであると思います。臨床心理士の開業を例に取ると、病院や公的な相談室などの組織で経験を積んだ人が、自分で独立して開業します。そのような意味では町医者と同じような実情があると思います。自分の理想に燃えて開業している人が多いため、スキルアップに余念がない人が多い印象です。

 一方、開業領域というのは一人で勤務する事が少なくありません。その意味では孤独に耐えられることは条件となりますし、組織や集団に属するよりも一人で思うように過ごしたいという一匹狼的な性格の方も少なくないように思います。

どんな人が利用してるのか

 カウンセリングと言うと医療的な関わりで何らかの精神的な疾患や症状に悩んでいる人が受けるものというイメージを持っている人が少なくありませんが、実情は少し異なります。町のカウンセリングルームを利用する方は必ずしも医療機関を利用している訳ではなく、むしろ通院を必要としていない人のほうが多いくらいです。

 精神的な症状の除去を求めていらっしゃる方も勿論いらっしゃいますが、生活は送っているがどうも自分の人生を歩いている気がしない、自身の存在に何かしらの違和感を感じているなどの医学とは馴染みにくい相談で訪れる方や、人間関係や仕事関係などの生きていれば当然生じる苦しみとの向き合い方など、人生の質に関する相談でいらっしゃる方が多いように思います。

 その意味では町のカウンセリングルームは、昔のお寺や西洋の教会が担っていた役割を多分に引き継いでいるのだと思います。満足して生活を送ることを応援する場所なのです。

町のカウンセリングルームにご満足頂ける方は?

 最後に、町のカウンセリングルームでカウンセリングを受けて充実した時間を過ごせる人はどんな方かを考えていきます。まずは、精神症状があっても病院などの支援を受けられる環境にある人、次にある程度の長期間に渡って通うことが時間的・経済的に可能である人、そして、心という漠然としたものに向き合うことに大きな抵抗がない人でしょうか。

 カウンセリングは気持ちを揺さぶられることも少なくありませんし、ある程度の期間が必要です。このような前提条件はカウンセリング開始前に十分に知っておいた方が良いと思います。また、極端に理屈屋で曖昧なものは信じないという信念をお持ちの方もあまり向いていないように思います。ただ、このような姿勢が心と向き合うことの抵抗の結果として生じているのであれば、それをカウンセリングの中で扱っていくことはあります。

 カウンセリングを行うことがプラスに働くかどうかはインテーク面接でカウンセラーと話をすることで知ることが出来ます。自身の生活や人生にカウンセリングが有用かどうかが気になるのであれば、インテーク面接に足を運んでみることも一つかと思います。

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