カウンセラーが所属する団体について

 学会の会期中ということもあり、心理士(主に臨床心理士)が所属する学会や職能団体について書かせて頂こうかなと思います。特定の団体の情報というよりも、所属することが心理士にとってどのような意味があるのかという話です。

学会への所属

 おそらく最初に所属する学会が「日本心理臨床学会」という方は多いでしょう。というのもこの学会は数多ある心理関係団代の中で一番会員数が多い学会です。ちなみにホームページから拝借すると2018年8月31日時点で、正会員29,414名、名誉会員327名、賛助会員9社、会員総数29,750名ということです。多くの人が在学中に指導教員の勧めなどもあり申し込みを行うことが多いのではないでしょうか。最初の一手という位置付けです。
学生時代が終わり働き始めると、それぞれの職場によって求められるものが変わってきます。当然、求められる業務についての自己研鑽を行う必要があり、そのための場が必要になります。すると各人がそれぞれ興味のある学会に所属することになります。例えば「日本精神分析学会」「日本認知・行動療法学会」「日本小児精神神経学会」などなど、非常に多くの学会があります。

職能団体への所属

 資格を取ると職能団体と言われる同じ資格を持つ人たちで形成されるコミュニティがあり、多くの人がそこに所属することになります。臨床心理士ですと「日本臨床心理士会」が大きな団体としてありますが、その他にも地域ごとの職能団体があります。最近では公認心理師が設立した影響から地域の臨床心理士会が公認心理師も含んだ団体へと組織体を変える動きも出ています。例えば「東京公認心理師協会」などがそうです。学会が研究を行う研鑽の場だとしたら、職能団体は心理士の働く土俵を社会の中に位置付けていくための窓口と言えそうです。

所属するためのコスト

 それなら様々な団体に所属している方がいいではないかという声があがりそうですが、ここで少し現実的なお話をしなければなりません。多くの団体では登録をするための登録料と年会費がかかります。登録料は10,000円くらいが相場で、年会費が6,000円程度から10,000円程度でしょうか。「日本精神分析学会」は13,000円とややお高めな額となります。また、各学会には年次大会というものがあり、職能団体にも定期的に研修などの企画があります。これらの費用は別途かかり、1回に数千円~10,000円の間くらいの費用が必要です。このような事情があり、多くの学会に所属することは現実的に難しいという切実な事情があるわけです。

カウンセラーの専門分野などを知る参考に

 以上の理由により所属する団体を取捨選択することが必要になるのですが、これは裏を返すと、カウンセラーの興味の範囲や心理士としての意識の程度を確認する指標ともなります。また、このような団体に全く所属していないカウンセラーというのも心配です。というのも社会情勢に関する情報や他のカウンセラーの視点などを知る機会が少なくなるため、カウンセラーとしての平均的な視点を持ちづらく、独りよがりになりやすいからです。気になるようであれば担当のカウンセラーの方に所属を尋ねてみるのも良いかもしれません。

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