はじめに

 2020年2月上旬頃よりコロナウィルスの影響が日に日に増して全世界的な問題となりました。通勤途中での感染リスクを下げることが推奨され始め、外出をせずに就業する方法が急速に発展することになります。会社に集まって業務を行うことを避けるために、在宅で行うテレワークの普及が国を中心に推奨されるようになりました。

テレワークとリモートワーク

 最近ではリモートワークという言葉の方がメジャーになっているようにも感じます。調べてみるとテレワークは tel と work から作られた造語ですが、リモートワークは remote と work から成っています。テレワークは後述しますようにオフィス以外の場所での労働を分類する考え方ですが、リモートワークはオフィス以外の場所で働くことを指し、最近の多種多様な働き方の全てを包含する考え方のようです。

テレワークの定義

 テレワークとは現代の発達した情報通信網を活用して、会社外の場所で業務を行うことを指します。一般社団法人日本テレワーク協会のHPを拝見すると、テレワークには

  • 自宅利用型テレワーク
  • モバイルワーク
  • 施設利用型テレワーク

と分類されています。モバイルワークとは移動中に行うパソコン業務などが含まれるようなので、営業の方が日常的にされている業務がテレワークとなります。近年、急速に発達しているのは「施設利用型テレワーク」でしょう。これは、サテライトオフィスなどを用いて、本来勤務するオフィスに出向かなくとも、業務が出来るようにするものですが、一昔前では、そんなオフィスを持てるのは大きな会社のみでした。しかし、近年このサテライトオフィスを安価で提供する企業が増えており、大きく注目が集まっているようです。

リモートワークの定義

 一般社団法人日本リモートワーク協会ではオフィス以外の場所で働くことをリモートワークとしています。近年の感染予防に伴って自宅やホテル、場合によっては自家用車などで仕事をする方もいらっしゃいますが、このような方達はリモートワークをしているということになります。施設利用型テレワークとの違いが分かりづらいですが、本来仕事用に利用されるスペース以外の場所で仕事を行う働き方はリモートワークに含まれるのでしょう。

心身に与える影響は

 オフィスに集まって働くほうが利便性があることもありますが、同時に人間関係の維持や職場内の暗黙の了解を遵守することなど、業務以外の部分に配慮する必要が生じます。人によっては煩わしいと感じたり、負担に思う方もいらっしゃるでしょう。実際に職場でのこのようなやりとりが心身の健康を損ない、ときには休職のきっかけとなることもあります。そのような負荷を低減することは期待できるのかもしれません。

 しかし、なかにはオフィスに出勤しての仕事を望む声もあります。業務内容にもよりますし、家庭の事情で在宅勤務を行うことが難しい方もいらっしゃいます。また、オフィスには単に仕事の効率化を目的とするだけでなく、人間関係を深めることで人生に潤いを与える効果もあります(参考:職場が持つ居場所としての役割)。どちらの働き方が良いかはまさにその人次第と言う他ありません。

働き方の多様化によって生じる孤独感

 様々な働き方を選択できることは良いのですが、これは「個人」として判断をして行動をしないといけないことを意味しています。自分で決断をすることが出来る人は良いのですが、まだ仕事に不安を感じている方や、自分で決断をすることが極端に苦手な方は孤独感や責任の重さを強く感じることになるはずです。多様な働き方を用意し、かつ如何に人間同士のつながりを作っていけるかが今後の課題であるようにも思います。

労働者のメンタルヘルス向上に向けての活用

 一方、多様な働き方が保証されることで、心理職の立場からは心の相談が行いやすい環境を作れるのではという期待がないわけでもありません。職場内での相談室や外部相談室は業務中に時間を作ることが難しいことや、周囲の目を気にして利用しにくい側面があることは否定できません。しかし、自宅など職場から離れた場所での業務が可能になれば、オンラインでのやりとりで心のケアを行うことも可能になります。これは大きな利点となる可能性があるでしょう。

 また、会社が導入したテレワーク設備やリモートワークの制度は、鬱などで休職中の方の業務復帰や面接にも活用することができます。復職の過程で外出が負担になる時期もテレワークでの業務参加という選択が可能になるはずです。

参考:復職までの過ごし方

カウンセリングへの影響

 カウンセリング業界でも近年、オンラインカウンセリングや電話相談、スカイプカウンセリングなどの実施が増えているように思います。これはカウンセラー側も、相談室で相談者の方とお会いする従来の形式と異なるサービスの提供の仕方を模索していることを意味しています。オンラインと対面のカウンセリングでは心理療法の深まり方も異なるため、自分がどちらの形式が良いのかに迷っているようであれば担当カウンセラーと相談してみると良いでしょう。

 また、頂く相談の中では上記のような孤独感に関連した悩みや、報連相の方法の困惑などを訴える方がいらっしゃいますが、反対にオンオフの切り替えが上手に出来ない働き過ぎ状態となっている方にお会いすることもあります。昔流行った「モーレツリーマン」とならないように自己意識を持つことも大切なのかもしれません(参考:過活動へのカウンセリング)

参考

  • 一般社団法人「日本テレワーク協会」ホームページ
  • 一般社団法人「日本リモートワーク協会」ホームページ