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はじめに
ネガティブかポジティブかということは日常の判断を行う上で最も身近な物差しかもしれません。現代ではどちらかと言うとポジティブであることに重きが置かれやすい傾向が強いためか、ネガティブな視点や考え方を持つこと自体が悩みになることも生じています。
そこで、今回はネガティブな視点や考え方(=ネガティブ思考)とどう付き合うかを取り上げます。ネガティブ思考とはどういったものか、どのような対応があるのか、そもそも対応が必要なのかなどを考えるきっかけとなれば幸いです。

ネガティブ思考とは
まず、ネガティブ思考とはどういったものでしょうか。臨床心理学ではこの言葉は認知行動療法を専門とする方が良く使う言葉です。物事を否定的・悲観的にとらえてしまい、自分や周囲に対する批判的な気持ちが強くなります。また、過去の価値下げや未来への絶望感などを抱きやすくなることも挙げられます。失敗体験を「自分の能力不足の証拠」と短絡的に結びつけたり、小さな不安を大問題として捉えたりして、心や行動が「負のスパイラル」に飲み込まれている状態と言えそうです。
ネガティブ思考による影響は?
ネガティブ思考が強くなるとどのようなことが起きるのでしょうか。3つのカテゴリーに分けて考えてみます。
生活面
前向きになれないことや良くない結果ばかりを想像することが続けば、気持ちは落ち込みやすくなり、心身への影響として現れます。このような日常は安心感を欠くものであり、日々を楽しんで過ごすことが難しくなることはもちろん、時に抑うつ気分に支配されるような状態に陥ってしまうこともあります。
行動面
ネガティブ思考であることによって、決断をすることへの慎重さが増す方がいらっしゃいます。考えた上での決は良い結果につながりやすくなることも事実です。しかし、過度な慎重さは新しいことに手を伸ばすことの負担を大きくします。そのため、行動が消極的になり、成功する機会を逃しやすくなってしまうと考えられます。
また、悲観的な気持ちが一層強くなれば、日常生活を送ることのモチベーションを維持することも困難になることは言うまでもありません。
人間関係
ネガティブ思考であることが人間関係に影響を与えることは否めません。先程の慎重姿勢が強くなることで他者に心を開きにくくなることや、ネガティブな話題を繰り返すことで他者に距離を取られてしまうことは起こり得ます。その結果、深い人間関係を作りにくくなるという悩みが生じることもあります。人間関係が上手くいかないことが自信の低下につながり、さらに負のスパイラルに入ってしまうことも心配です。
背景には何かがあるはず
ネガティブ思考に陥りがちな方は、考え方の癖とか認知の歪みと言われる傾向を指摘されることがあります。詳細はこちらにまとめていますが、ネガティブ思考に陥りがちな傾向の背景を知っておく必要があります。
認知行動療法では、癖や歪み(参考:認知の歪み)を適応的なものに変化させていくことが目的になります。しかし、実際に受けてみても大きな変化を得られないと仰る方も少なくありません。そのようなご事情がある場合は、ネガティブ思考を持つに至った経緯や、持つ必要があった理由に触れていくことが大切だと思われます。
ネガティブになることが必要な場面もある
ポジティブ思考だけで人生を過ごせる方はまずいないと思います。苦しい時や悲しむ場面は必ず訪れますし、このような時にポジティブな姿勢でいれば周囲からは大いに心配されることでしょう。
あるいはうつ病などを患っている時はネガティブ思考になることが当然ですし、必要なことでもあります。(参考:鬱(うつ)の分類と予防について)。また、喪失体験やトラウマとなる出来事に遭遇した時にも、当然ネガティブ思考が生じるはずです。つまり、ネガティブ思考を解消する以前にケアをされなければいけない事情があるわけです。
適切な時にネガティブな姿勢になれないのだとすれば、何かを見ないようにしているとか、取り扱うことに耐えられる状態ではないため、心が自分を守ろうとしていることも考えられます。
苦しいときは
そうは言っても、ネガティブなことが頭に浮かび続けることは苦しいものです。自分一人で抱えることがあまりにも辛いようであれば、他者に頼ることを考えても良いと思います。身近な人に浮かんでくる事柄を打ち明けてみることや、自分のネガティブな在り方をどう感じるかをストレートに聞いてみるなども良いでしょう。勇気のいる告白ですが、意外と受け入れてくれる人はいるはずです。もちろん打ち明ける他者をカウンセリングに求めることもできます。
いずれにせよ、ネガティブだからいけないとは思わないで頂きたいです。そのように考えてしまうこともまた、苦しみを助長するものだからです。
